成人男性の保険

私が初めてブログに出会ったのは中学生の時だった。自分専用のものが下着と歯ブラシくらいしかなかった私にとって、そのインターネット上の空間はまるで自分の部屋のように感じたことを今でも覚えている。平成前半生まれの私はブログの最盛期に青年期を過ごしたこともあり、日記やつぶやきを公開するSNSの先駆けにのめり込んだ。今でこそブログを運営するのはアフィリエイトか芸能人くらいだが、当時は素人がたくさんいた。群雄割拠のブログ時代、色々なジャンルがあるこの業界で、感服される程の文章力も、鋭い考察力も持ち合わせのない私の記事は大抵日記である。日々のことや、周りの愚痴を徒然と書く。大受けすることも、たくさんの人に見られることもなく、数名の常連を相手に記事を書く。私はそんな自分の空間が好きだった。

また、私はブログをたくさん移転した。あの齢は黒歴史が溜まるのである。自分の記事(や恥ずかしいポエム)を読んで、いてもたってもいられなくなると、ブログを移転する。今の高校生たちがtwitterのアカウントを頻繁に変えるのは同じ意味なのだろうかとたまに思いを馳せる。

わからない人にはわからない感覚だろうが、ネットで恋愛もした。顔も知らない文通相手に恋をするのと同じかも知れない。現実でも会うようになった親友もできたし、彼女も出来た。しかし、様々なものを与えてくれたブログだったが、私は大学入学くらいを境にブログを更新しなくなった。理由は、あえていうなら忙しくなったから。でも、高校生の頃だって忙しかったし、大学に入ってからブログを書く時間さえなくなったかといえば、そんなこともない。更新しようと思えば出来ただろうし、厚かましい言い方になるが、私の記事の更新を待っていた人も少なからずいただろう。もっと楽しい趣味を見つけたのかも知れない、大人になるにつれてゲームをしなくなるのと一緒かも知れない。とにかく、私はブログを更新しなくなった。大学入学は19歳、今私は26歳付近なので、7年近くブログから遠ざかっていた計算になる。

 

今、こうしてやもあって、ブログを開設して記事を書いているが、すぐに移転する羽目にならないことを私はひたすら祈るばかりである。